
キラキラ
第35章 屋烏之愛
そして、話は最初に戻る。
俺は、STが始まりそうな教室を抜け出し、北校舎に向かった。
ガヤガヤした教室の前をいくつか通りすぎ、渡り廊下から隣の北校舎を目指す。
その裏庭が、松本のグループの溜まり場だ。
俺は、欠伸をしながら、ぺたぺた歩いた。
松本の、俺のものになれ発言からこっち、俺のハイスクールライフは大きくかわった。
当たり前だ。
学校の二大勢力の片方のグループのトップに気に入られたのだから。
真面目な二宮くんは、今や松本一派に立派に名を連ねていた。
クラスメートの俺を見る目もかわり。
扱いも腫れ物を触るような態度になった。
最初はそんな変化に戸惑ったが、一ヶ月もたてば、それはあきらめにかわった。
……何よりも松本の俺に対する執着が、予想以上だった。
