
キラキラ
第35章 屋烏之愛
「離せ、横山!」
「あほか。菊池の挑発にのってどないするん!」
面長金髪は、横山というようで。
そいつに、二人して無理矢理引っ張られるようにして、その場を離れた。
もう一人の上田と呼ばれた金髪は、苦虫を噛み潰したような顔で、怒ったようにスタスタと、早足で歩いて行く。
「……じゃぁ、てめぇは腹が立たねぇのかよ」
「そら立つけどやな。いちいち噛みついてたってしゃーないやん」
「……いや、許せねぇ。次、ぶっ殺してやる」
……なんだか、ヒートアップしてるけど……二人とも俺のことなんか放ったらかしだ。
なんなら、俺をおいて二人で歩いて行ってるくらいだし。
……俺、このままついてく意味ある?
このタイミングで逃げれそうじゃないか?
俺は、少しずつ歩く速度を遅らせて、二人から距離をおきはじめた。
みたところ、どうやら隣の校舎の裏に向かっているみたいだ。
あの廊下を二人が曲がったタイミングで……もときた道をダッシュだ。
同じ学校に通う限りは、どうせいつかは捕まるだろうけど、痛くて怖いのはなるべく後回しにしたいし。
俺は、半歩ずつ速度をずらし始めた。
そっと……そっと、
横山と上田が角をまがる。
今だ!
俺は回れ右をして走りだそうとした。
