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キラキラ

第35章 屋烏之愛


「おまえ誰?」


目で威嚇しながらこちらに、歩いてくる金髪たち。


「なんや?なんか文句あるんか。わしら、こいつと喋ってただけやないかい」


金髪の片方が、怯えきってるクラスメートを顎でさして、しれっと言った。


片方は標準語だけど……もう一人は関西弁。
関西の人間か。


面長で色白の金髪が、俺を見て、値踏みするように目を細めた。


「…………」


その視線に負けじと、俺もじっとそいつを見つめ返した。


さすが、大学までついてるような名門校は、全国から生徒が集まってくるものだな。

まぁ……こいつらは、私立にありがちな、金持ちのボンボンで、コネにまかせて入ってきたやつらなのだろうけれど。

その証拠に、二人はこざっぱりした格好をしていた。
シャツは着崩してるけど、ちゃんとアイロンがあたっていて汚くはなく、そのへんの街中を歩いてるヤンキーとはちょっとちがう、と思った。

腰についてるチェーンの先にある財布みたいなものからは、有名ブランドのロゴがみえるし。

ボンボンの典型だ。

……それにしてもなんの香水をふりまいてるんだか。匂いがきつくて頭が痛くなりそうだ。


「おまえも俺らとお話したいんか?」


楽しそうな顔で、じわじわと距離を縮めてくる二人は、俺にターゲットをかえたようだ。
ちなみにさっきまでカツアゲにあってたやつは、腰をぬかして、その場に座り込んでる。


くそ……面倒だ。


俺は、じっとそいつらを見つめかえし。

隙を見て、思いっきり二発下腹部を蹴りあげた。


「うあっ」

「いって!!」


二人が変な声をあげてうずくまったのを確認して、逃げるぞ!と、クラスメートの腕をとり、ひきずるようにして無理やり走り出した。

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