テキストサイズ

キラキラ

第34章 バースト9


Kazu



本気で怒ってるときの、表情を消した翔さんと、完全に怯えきった潤くんが、翔さんの部屋に消えてから、きっかり一時間後。

スッキリしたといっては聞こえが悪いが、清々しいまでに、晴れやかな翔さんが、一人でリビングに戻ってきた。


…………なんで一人?


ちびちびと晩酌を始めていた智さんと、思わず目をあわす。


「……潤は?」


智さんが、長い指でナッツをもてあそびながら、たずねると、翔さんは、いやぁ……というように頭をかいた。


「……寝た」


その一言で全てを察した俺と智さんは、それぞれに脱力した。


予想はしてたけど……やっぱりか。


智さんは苦笑いして、手にしてたナッツを口にほおりこんだ。


「……お前さぁ……せめてこの家に誰もいないときにやれよ」

「……聞こえてた?」

「いや、なんも聞こえねぇけど!」


身内のそういうのは生々しいわ、と照れたように吐き捨てる智さん。

さもありなんと、俺がリビングの扉をぴったり閉めて、少し大きめな音で音楽をかけたのが良かったみたいだ。

こないだ、帰ってきてた俺に気づかないで、二人が部屋でしてたけど、やっぱちょっと聞こえちゃうんだよね。声とか。気配とか。

いつも一緒にいる人の喘ぎ声なんて聞いたら、照れるもんなぁ。


俺は、それより憑き物がおちたような翔さんの表情の方が気になった。


「……解決したの?」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ