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キラキラ

第34章 バースト9


俺は、直接見たわけじゃないけど、相葉くんのまた聞き情報によると、講堂のイベントが大騒ぎだったらしい。

原因は潤くんのクラス。
しかも、潤くんが、その騒ぎの張本人だっていうから驚きだ。

彼が何をしたか、聞いて目眩がした。


……女装して、舞台の上で相手の男とキスして、挙げ句のはてに、イリュージョン。


…………バカなの?!
と、呟いた俺に、相葉くんは苦笑いしてたっけ。

翔さんが見てなかったことを祈っていたけど、相葉くんと別れて、翔さんと合流したときの雰囲気でわかった。

翔さん、俺にはあたるまいと、普通に振る舞ってくれてたけど、ずっと表情がおかしかったもんなぁ。


心配してたけど……でも、今のこの晴れやかな顔なら安心だね。


「サンキュ……もう大丈夫だから」

「うん……よかった」


にこりとして俺を見る翔さんに、胸を撫で下ろした。


「……何があったんだ?」


一人、蚊帳の外の智さんがグラスをかたむけながら、首をひねる。


「恋人の可愛いヤキモチと、その他モロモロのトラブル発生で……ちょっとね」

さらりと翔さんが言う。


「…………それは……大変だったな」


智さんは、肩をすくめてみせた。
俺はくすくす笑った。




壁の時計を見上げると11時30分。

なんか、ちょっと相葉くんが恋しくなってきたから、電話してみよう。

……心を伝えあうって大事だよね。

素直になるのと、遠慮するバランスって難しい。
あの二人を見てたら、尚更強く感じる。
特に、潤くんなんて遠慮しすぎ。

幸い、俺の恋人は、素直すぎるくらい素直で。
俺の方も、いい意味で影響うけてるから、あんまり遠慮をしなくなった。


好き。
会いたい。
声がききたい。
俺以外見ないで。
愛してる。


知ってる?潤くん。

言われて嬉しいことは、相手も嬉しいんだよ。



「寝るね。おやすみなさい」

「おう……おやすみ」

「おやすみ」

声をかけたら、ちょっと眠そうな智さんの声と、ご機嫌な翔さんの声がハモった。




リビングから自室に向かう途中の、翔さんの部屋を見つめる。

扉の向こうで、すやすや寝ているであろう可愛い弟分を思いやりながら。


今度、じっくり話きいてあげよう。


そう思い、俺はあったかい気持ちで、自室の扉を静かに閉めた。



end.

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