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キラキラ

第34章 バースト9


部屋の入り口で、とんと、背中を押されてつんのめりそうになった体は、ふわりと浮き、そのまま翔のベッドにゆっくり寝かされた。

冷たいシーツの感触に、体が強ばる。

普段ならば甘くてとろけそうな雰囲気で寝かされるのに、まるでギロチン台にのせられた感覚だ。


戸惑う俺に、翔が硬い表情でのしかかってきた。


別に拘束されてるわけでもなんでもないのに、凍りついたように体が動かない。

部屋のライトを背に、こちらを見下ろす翔の顔は暗くて……



…………怖い。



俺がこくりと息をのむのと同時に、翔は低い声で、言った。


「言い訳があるなら言ってみろ。聞いてやる」

「…………」


体が震える。


言い訳なんて……


そりゃあるさ。
あるに決まってる。


第一に俺の本意じゃないんだ、あんな格好もパフォーマンスも。
あんなの俺が喜んですると思うのか。


……言おうと思うのに、喉がひっかかったように声がでない。


「……ぁ……」



そのうち怖い顔をしている翔に対して、言い知れぬ悲しみがおそってきた。


……なんだよ。
そもそも俺がこんなことをするキッカケは翔だろ。
俺は、泥簿呼ばわりされたんだぞ。
女子大生に騙されてんじゃねーよ!


言いたいのに言えなくて。



翔の……バカ野郎……



かわりに目尻から一筋の涙が、こぼれた。

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