
キラキラ
第34章 バースト9
女子たちが口々に俺を褒め称える。
「すごい!めちゃめちゃ可愛い!」
「ていうか、美人じゃない?どうする?これやばいって!」
「松本、男に狙われそう~」
「…………」
きゃいきゃい騒ぐ彼女たちを、軽く睨み付ける。
からかうんじゃねーよ。
男が女装したとこで、気持ち悪いだけだろうがよ……
大方、俺をその気にさせるために盛り上げてるだけだろう、と。俺は、何度目かのため息をついた。
ここは、姿見なんかない教室だから、幸か不幸か自分がどんな状態になってるかなんてわからない。
わかるのは、カツラつけてワンピースを着た、不可思議な男子高校生ができたであろう事実だけだ。
これから全校生徒に笑われるかと思うと……なんだか、憂鬱だった。
せっかくこれまで目立たないように生きてきたのに。
なんだって、こんな悪目立ちしなきゃなんねーんだよ……。
何をどう考えても悪いようにしか考えられず、俺のテンションは最悪だった。
そこへ、教室の反対側で着替えてた生田が、
「準備できたかー?」
とのんきにやってきて、俺の前でピタリと動きをとめた。
彼は、口をあんぐりと開け、目を真ん丸に見開いてる。
その沈黙に、俺はなんだか居心地が悪くなり、ふいっと顔をそむけた。
「……笑いたきゃ笑えよ」
いーよな、おまえは。
切り裂きジャックだっけ?
バンパイアみたいでお洒落じゃん……。
むすっとしていたら、生田が俺の肩をつかみ、激しく揺さぶった。
