
キラキラ
第34章 バースト9
Jun
さっきまで、翔と会ってたからだろうか。
俺は、やはり、今から自分がすることに後悔しか感じなくなっていた。
引き受けたときが、悲しいのもあり怒っていたのもあり、で、自棄だったのは確かだ。
でも、冷静に考えたら、俺が女装して仮装コンテストだなんて、ネタ以外の何物でもねーじゃん?
笑われるのは本意じゃないんだけど……
もはや、まったく出る気は失せてしまっていた。
でも、こんな土壇場になって、今さら嫌だなんてさすがにいえずに、渡された血みどろ白ワンピにいやいや着替えた。
ふわりとした裾に目眩がする。
キモくないの?これ……
はぁ……と、ため息をついたら、
「松本……ちょっとだけ上向いて」
真剣にメイクを施してくれてる女子から鋭い言葉がとぶ。
俺がしぶしぶ顎をあげたら、唇に何かを塗られた。
俺の後ろでは、もう一人の女子がウイッグを編み込んだり、ピンを使って固定したり、何やらゴソゴソしている。
「やっぱり……松本すっごい綺麗な二重してるし、睫毛長いし……化粧映えするわぁ」
のぞきこんでた実行委員の女子が、ほぉ……と、感嘆のため息をついた。
「なに、そのバサバサの睫毛。ビューラーもなにも細工いらないし!」
「でしょ?最初はゾンビメイクの予定だったけど、あんまりにも綺麗だからやめたー」
「うんうんその方がいいって」
俺の唇に何度もいろんなものを塗りながら、女子たちは好き勝手言ってる。
そうして、
「はいできた。立って」
と、言われ、立ち上がったら、そこにいた女子たちから、きゃーっと歓声があがった。
