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キラキラ

第34章 バースト9


「いらっしゃい。早かったね」


恥ずかしそうにはにかむ潤は、いつもより少しよそゆきの雰囲気があった。

……学校という場所柄、いつもの可愛さを意識して隠しているようにみえる。
常に、まっすぐ俺を見つめてきてくれる大きな瞳は、今日はそらされがちで。
そんな、若干そっけない感じが、また俺にとっちゃ新鮮でたまらない……っていったら、怒られそうだから言わないでおくけど。



「あれ、かずは?」


潤がキョロキョロして、首をかしげる。


「ああ……なんか連れていかれた」

「え?!」

「相葉くんと同じ部活のやつらに。……なんか、かずが、前に勉強教えてあげた連中だって言ってたけど」(第21章ひぐらし 参照)


説明すると、潤は、ああ……と、思い出したように頷いた。


「知ってるのか?」

「うん。見た目はおっかないかもしれないけど、気はいいやつらだよ」

「そうみたいだな」



突如、舎弟感というか、後輩感というか、そんな空気をつくりながら、かずの前に現れた二人は、


「相葉のとこっすか。案内しますよ!連れの方も一緒に!」


と言って、さあさあ、とかずを誘った。

その風貌に、思わず警戒した俺だが、かずの笑顔をみて、大丈夫そうだ、と、肩の力をぬく。


「こいつらは大丈夫。なんなら変なのも追い払ってくれるよ。俺、相葉くんとこ行ってくるね。翔さんは潤くんといて?」

「……わかった。なんかあったら、呼べよ?」


暗に、テレパスで呼べ、と、釘をさしたら、


「ふふふ。わかってる」


笑顔でうなずいて行ってしまった。
可愛いかず一人に、やんちゃな二人の組み合わせがおもしろくて。
後ろ姿の三人は、水戸黄門みたいだ、と思った。

一応、相葉くんにはメッセージを送っておくことにする。

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