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キラキラ

第34章 バースト9


講義が終わり、図書館で用事をすませたあと、大学の門を足早に出ながら、すぐさま潤に連絡をとろうとスマホを開いた。

メッセージやメールで、この問題は解決しちゃいけない。
あいつの顔を見てじっくりと喋りたいと思った。

だが、


『今、どこ?』


ラインをうちこんで、数十秒後。
返ってきた返事は、


『ごめん、まだ学校』


学校??!

俺は、驚いて腕時計をみる。
既に七時をすぎている。
てっきり家にいると思ったから呼び出そうと思っていたのに。


『明日の準備に手間取って。どうしたの?』


明日……そうか。
潤の学校の文化祭か。


俺は、山下先輩のせいですっかり忘れていた予定を思い出す。

なら、今日無理矢理つかまえなくても、明日会えるか……。
文化祭が、終わったあとにでも、俺の家に来させたらいい。

俺は、その場に立ち止まり、手早く返信した。


『いや……明日楽しみにしてる。かずと見に行くからな?』

『うん。待ってる』

『気をつけて帰れよ』

『ありがとう』


潤のメッセージを確認して、スマホの画面をおとした。

冷たい風に鼻をこすり、はぁ……と、ため息をついた。


「さむ……」


呟いて、ポケットにスマホをしまい、歩きだす。

潤の高校に入るなんて初めてだ。
出会いの場は、体育館裏だったし。
迎えに門の前までは行ったことはあるけれど。

どんな顔で高校生をしてるのだろうな。


ちょっと楽しみかもしれない。


考えつつ。

俺は改札をくぐりながら、夕飯のメニューに意識を切り替えた。

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