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キラキラ

第34章 バースト9


「俺……そんなの知らねぇ……」


唖然としてると、山下先輩は、大丈夫と手を振る。


「大半の人間は、裏では分かってたから。君はどんな子からの告白も断ってるって有名だったもの」

「…………」

「でも、妹であるミズキは、ヨウキのいうこと信じてたんだろうな。自慢の姉ちゃんだったろうから……だから、あの美人くんに奪われたと思って、それが悪意にかわったんだろうね」

「…………ちょっと待て」



俺が眉をひそめて、山下先輩の話を遮る。
聞き捨てならない言葉を聞いた。


美人くんに奪われた……悪意……?


俺が変な顔をしているのをみて、山下先輩はくすっと笑って、紙パックのストローをちゅっと吸った。
イチゴミルクのそれが、ズルズルっと間抜けな音をたてる。

俺が乾いた唇を動かし、


「それって……」


と、核心に迫ろうとしたら、山下先輩は至極真面目な顔になり、声を潜めてきた。


「俺はね、櫻井くん。同性愛に偏見はないよ。愛があるなら、それでもいいじゃんと思ってる」

「……」

「あの美人くん。きみの恋人でしょう?」

「……はい」


俺が、しっかりと頷くのをみて、山下先輩はにっこり笑った。


「可愛い子だね」

「……手をだしたらダメですよ」

「お友だちになるのは?」

「ダメ」

「厳しいなぁ」


ふふっと笑って、それから山下先輩は、ちょっと悲しい目をした。


「で……さ。あの日、学祭の日ね。ここで君とまちあわせてた美人くんと会ったんだけど。ミズキはどういうわけか、美人くんをきみの恋人だと見抜いて、ひどいこといっちゃって」

「……なんて?」


胸がぎりぎりしてきた。
潤がひた隠しにしてる真実がみえてきた気がした。

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