
キラキラ
第34章 バースト9
「悪かったなって……?」
ざわつく胸を押さえながら、低く問い返す。
山下先輩は、困ったように眉を下げてる。
「…あんた……潤に何かしたのか?」
もしそうならただじゃおかねぇ、と殺気だちかけたが、山下先輩はNO、NOとかぶりをふる。
「……君のゼミにさ、ミズキって女の子いるでしょう」
思いもよらない話題の変換に、俺はまた戸惑った。
「ミズキ……」
「その子俺のカノジョだったんだけど、あ、ちなみに一昨日別れたとこなんだけどー」
「…………」
「ヨウキ妃の妹なんだわ」
「……誰だそいつ」
確かにミズキという女子はいる。
女子同士、名前で呼びあってるようで、なんとなく聞いた気がする。
名字は覚えてないけど。
「えー君が、ついこないだコクられて断った子いるじゃん」
「そんなもん……たくさんいて分かんねぇ」
言えば、山下先輩は、ひゅうと口笛を吹いて手を叩いた。
「さすが」
「からかわないでください。ヨウキ妃って?」
「一昨年のミスコンのグランプリとったお姉さま」
山下先輩は、ふふふと笑って、俺の前で頬杖をついた。
「君にフラれたのに、それをカッコ悪いと思ったのか、逆に君とつきあってると嘘の噂を吹聴してまわったらしいよ?」
……え?
