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キラキラ

第34章 バースト9


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俺が愛してる、と囁けば、潤は、はにかんだ可愛らしい顔を見せるものの、どこか……そう、きっと恋人である俺にしかわからない何かが……やはりおかしかった。
瞳の奥が常にゆらゆらして暗い。

でも、聞いても聞いても、潤はなんでもない、と繰り返す。

最初のうちは、根気強く聞いてたら、いつか口を割ってくれるだろうと思っていた。

だけど、潤は想像以上に頑固で。

そのうち、あまりしつこくしても逆効果なのかと思った。
だから、ならば、待つしかない、と、思った。

潤が、心を整理して、俺に話そう、と思ってくれる日まで待とう、と。
それまで、俺は、今までどおりでいようと思った。
愛してる、と何度も伝えようと……決めた。




やがて、その真相は意外なところから知ることになる。




急に休講が入った講義のせいで、ぽかりとあいた繋ぎの時間。
図書館に行こうか迷ったが、喉がかわいていたため、いつものカフェに向かう。

潤との待ち合わせにつかってる定位置が、あいていたから、そこに荷物をおき、買ってきたラテを飲みながら、文庫本を開いた。


「こんにちは」


そこへ、聞いたことのある声がかけられ、俺は目線だけあげて声の主を確認する。
確か愛想なんか必要のなかった人物だったはずだ。


「ちょっといい?」


茶髪のチャラ男こと、法学部ひとつ上の山下先輩。

あとから周りにきくと、どうやら彼も女好きで相当有名人らしい。
週末は必ず合コンしてるとかしてないとか。


こいつは、絶対危険だ。


俺のブラックリストに加えられてる彼は、紙パックのジュースを飲みながら、俺に、ん?と気のいい笑みを浮かべてきた。

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