
キラキラ
第34章 バースト9
翔が、女子学生にたくさん告白されてる、だとか。
女に興味ないって噂がある、とか。
男が恋愛対象と言われてる、とか。
……それらを面白おかしく騒いでいたグループ。
彼女たちの言葉を思いだし、思わず苦々しい顔になる。
全否定できないのも悔しい。
そんな彼女たちは、スマホで琥珀糖を撮影しつつ、時々、こっちをちらちら見てるし。
……翔を見てるんだろうな……てか、見んじゃねーよ。
俺のちょっと不機嫌になった顔に、翔が敏感に反応した。
「……潤?」
翔が俺の名を呼ぶ。
目の前で、かずが、気遣わしげな瞳をしてることに気づく。
「…………」
まずい。翔に心配かける。
俺は、ゆっくり深呼吸して、なんでもない……と笑った。
……気にしない。
翔は、何か言いたげだったが、込み入った話になってくると察したのか、俺の頭に再びポンと手を置いた。
「ならいいけど。……ゆっくり食ってけよ」
「うん」
「あとでな」
「……うん」
翔がにこりと笑って裏に消えて行く。
ここまでの俺らのやりとりを、頬杖をつきながら見てたかずと雅紀が、ほぉほぉとやらしい相槌をうった。
「なーんかさー俺たちアウトオブ眼中だよねー?」
「ねー透明人間扱いだよねー」
「仕方ないかー潤くんたちラブラブ夫婦だし?」
「そーだねー」
「……うるせぇぞ」
楽しげにからかってくる二人をジロリとみやる。
でも、なんだか、今になって恥ずかしくなってきた。
俺は、その場を誤魔化すようにその赤くキラキラ光る宝石のような和菓子をつまんで、口にいれた。
「……お」
シャリシャリした食感。
かと思えば……
「ん。なにこれ」
「とろっとしてるー」
グミのような感覚でいたものだから、想像してた食感と違うことに、まず驚いた。
「美味しいね」
かずが嬉しそうに、透き通るグリーンの琥珀糖を口にいれた。
