
キラキラ
第34章 バースト9
ここのメニューは、とある和菓子一択らしい。
飲み物だけ、抹茶か、ほうじ茶か、コーヒーを選べるようで、三人ともせっかくだから、と、抹茶をオーダーした。
「本格的だね」
雅紀が目を輝かせると、翔は、実は粉にお湯注いでるだけなんだぞ?と、いたずらっぼい顔で小さく囁いて裏に消えていった。
動いてる学生たちは、女子は袴。男子は作務衣で統一してるようだ。
内装にも凝っていて、まるで本当の和のカフェのよう。
「すごいね」
「そうだな……」
頬づえをつき、感嘆のため息をつく。
…………刺すような視線を感じたのはそのときだった。
「…………?」
ふっとそちらに目を向けても、周りはみな、それぞれ談笑しながら、お茶を飲んでいて。
気のせいかな、と、もとに戻っても、しばらくしたら、また視線を感じる。
俺の左後ろ。
さりげなくもう一度そちらを振り返っても、学生グループが何個かあるだけで、みなお喋りに夢中だ。
「潤?どうした?」
俺の様子に、雅紀が不思議そうに声をかけてきたけど。
見られてる気がする、とそんなあやふやな理由だからあまり騒ぎたくもない。
「いや……なんでも」
首を振り、足を組み直した。
気のせい……か?
余計なことをいって、二人を心配させてもなんだし……とりあえず黙っておくことにした。
思い過ごしかもしれないし…。
「おまちどう」
翔の声に我にかえる。
「わぁ、なにこれ!」
かずが、弾んだ声をあげて、俺も目の前におかれた紙皿に意識を向けた。
キラキラしたグミのような透明なそれは、ピンクや水色、紫など色とりどり。
「琥珀糖っていうんだ」
翔は、綺麗だろ?と抹茶の入った紙コップを配りながら説明してくれる。
「寒天と砂糖からできてんだけど、なかなかうまいぞ。インスタ映えもするしな」
翔が、ぴっと周りを指差す方をみたら、なるほど、きゃいきゃい言いながらスマホで撮影してる女子グループがあった。
俺たちの前に並んでたあのグループだ。
