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キラキラ

第34章 バースト9


不思議な食感の菓子と、お湯でとかしただけとは思えない美味しい抹茶をいただき、百円ポッキリを支払って、店を出た。


「うわ……すごい人」


目の前の光景に、かずがぼそっと呟く。


入場を待ちわびる列は、全然短くなることもなく、むしろまたのびてる気がして、三人顔を見合わせた。


……マジか。


俺は複雑な気分になる。


ここに並ぶ全ての人たちが、翔目当てとは思えないが、あのうるさいグループの噂話をきくに、ゼロではないはずで。

邪推すればするほど、どいつもこいつも翔に群がってくるやつらにしかみえなくなってきていた。


こんな風に思っちゃ駄目なんだろうけどな……。


俺は、なんとなくモヤモヤした気持ちをぬぐえないままに、その場をあとにした。

ちなみに、あの刺すような視線は、そのあと感じることはなかった。
気にはなるものの、とりあえずは、ほっておこうと思った。




そのまま、他の屋台や、展示なんかを見てまわってるうちに……ついに、翔との待ち合わせ時間まで、30分をきった。


「俺、そろそろ行くわ」


腕時計を確認して、ここまで一緒に行動を共にしてくれた二人に声をかける。

前を歩いてたかずが、え?というように振り向いて口を尖らせた。


「ダメだよ、勝手に離れたら。翔さんに引き渡すとこまでが、俺らの役目だもん」

「いや、でもあと30分もないし。もう大丈夫だから」

「だけど……」


俺は、苦笑いして肩をすくめた。

まったく、俺はみんなから心配されてんだな。


「……子供じゃないし、嫌なものは嫌だっていうから平気」

「潤くんそれできるの?」

「できるさ」

「うそだ」

「嘘じゃねーよ(笑)」

「……だけど」


なおも心配そうな表情で、食い下がろうとするかずの肩を、雅紀がそっと抱いた。


「かーず。気を使ってくれてんだよ?潤は」

「え?」

「俺たちのデートの邪魔になってないか、実はずっと気にしてくれてるんだよ」



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