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キラキラ

第34章 バースト9


雅紀のシャツのすそをつかみ、テレパスで翔と会話してるかず。
その、かずのぼんやりしてた焦点が、ふうっと戻ってきた。


「二号館入ってすぐだって!」

「ふうん……」


……ああ、そっか。
だから、来たら分かる、だったんだな。


「大繁盛中だから、ちょっと待たせるかもって言ってたよ。……で、二号館はどこだろ?」


翔との会話をなぞりながら、かずが案内図を見てキョロキョロしてる。
雅紀が、隣で同じようにのぞきこんでるのを眺めながら、俺は翔との待ち合わせのカフェが三号館にあったことを思い出した。

二号館ならば隣の建物だろう。


「こっちじゃね?」


二人を誘導して、歩きだした。

かずが、弾むような足どりで俺の後をついてくる。


「さすが。恋人の場所ならすぐ分かるんだね~」

「愛だね愛」

「…………」


……俺は、翔と合流するまで、ずっとこの二人に弄られるんだろうか。


苦笑いして受け止めながら、人波をぬい、目的の建物に近づく。

模擬店や、ステージなどは、客がうまくばらけるように、広範囲に点在してるみたいで、どこを歩いても人人人だ。

翔がいるところも模擬店のようだが、テントをはった屋台みたいなスタイルではなく、喫茶店のような形だと言っていた。

茶色のレンガが貼ってある大きな建物にたどりつく。
ガラスばりの観音開きは開けっ放しになっており、そこもたくさんの人が出入りしてる。


……ここかな。


そっと足を踏み入れてみると、エントランス脇に
立派な書で「甘味処」と書いたのぼりがたっていて。

行列ができている一区画があった。


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