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キラキラ

第34章 バースト9


ふと見ると、雅紀は、早速入り口近くにあった店の勢いに負けて、ポテトなんて買ってる。


既に、全力で楽しむ気満々なのが分かるな……。


かずと、顔を見合わせてると、ありがとーございやしたー!という太い掛け声を背に、雅紀は笑顔で戻ってきた。


「あち……あち。うま!」


一本口に放り込んだ雅紀は、はふはふ言いながら、俺たちにも紙袋をさしだしてくれる。

サンキュー、と、あつあつのポテトに手をのばした。

スーパーで売ってる冷凍ポテトを揚げただけだろうに、こういうシチュエーションで食うと、どうしてこんなに美味しいんだろうな。


「おいしー」

「うまいなぁ」

「ケチャップ欲しいなー」


三人でわいわい言いながら、入り口でもらった案内図の紙を凝視する。

さすが有名大学だけあり、敷地面積も広ければ、集客力もすごくて、自分たちが今いる場所を把握するのも大変だ。


「翔さんどこにいるの?」

「……ゼミで店をやるって言ってた。前半が店番だけど、後半なら出れるからそこで合流しようって」

「あ、じゃあ、まず翔さんとこ行こうよ。来たよーって言いにいってから、ブラブラしてもいーんじゃない?」


どこにいるの?と聞かれて、俺は記憶をめぐらす。


「二号館の……」

「の?」

「どこか」

「はぁ?もう、ちゃんと聞いといてよ」


かずは、口を尖らして、ちょっと待ってて、と能力を使い始めた。

来ればわかる、と言われたから、聞かなかっただけなんだけどね、と、思いながら、周りの人波に目を向ける。

すると、仮装している呼び込みの人たちが目に飛び込んできた。

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