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キラキラ

第34章 バースト9


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翔の学祭当日。


「おはよ、潤くん」

「おはよう」


駅前でかずと合流する。


「……なんか雰囲気違うな」


大野家にいるときのゆるい格好を見慣れてるせいか、いわゆるデート服を着てるかずに、ドキリとした。


「そう?変?」


かずは不安そうにうつむいて自分の姿を確認してる。


「いや、そういう意味じゃなくて」


俺は、慌てて否定した。


ピンクのロンTに黒のハーフパンツ。
おまけに萌え袖プラスリュック。

……俺がいうのもなんだが、可愛さ全開だ。
雅紀を殺しにかかってるんじゃないかと思ってしまう。


よく似合ってる、といいかけたら、


「おはようー!かず、今日も可愛いー!」


突如、声のボリュームがおかしいテンションの雅紀が加わった。


「バカっ!そんな大きな声だすなよっ」


なんだろう、と、チラチラと道行く人たちがこちらを見るものだから、かずが真っ赤になって雅紀のお尻を叩いた。

デニムのシャツをはためかせた雅紀は、相も変わらずお洒落上級者の出で立ち。
ただの白いパンツ姿も、モデルみたいな長い足によりものすごく様になってる。

仲良さそうにじゃれあう二人を見て、俺はちょっと憂鬱になってしまった。


……これ、やっぱり俺、邪魔だ。
適当なところで別行動しよう……と、思っていたら、


「……なんか、潤くん今日ヤバイね」


かずに言われて、は?と、なった。


「思った。翔さん正しい判断だよ。これ、潤一人にしたら、いろんな人に声かけられるよね?」

「うんうん。俺もそう思う!」


意味ありげに頷きあうかずと雅紀。
俺がぽかんとしてると、二人にそろって指摘された。


……どうやら、幸せふわふわオーラが半端なくでてるらしい。


「翔さんに会いにいくのが嬉しいんだね」

「ふふ……かわいーねー潤くん」

「いや、意味わかんねーし……」

「照れてる照れてる」

「うるせーな!」


二人にからかわれながら、ようやく覚えた駅から翔の大学までの道のりをゆく。

周りには同じように祭りに参加する人たちが大勢いて。
人波に混じりながら、大きな門をくぐると、中はたくさんの模擬店のテントがならび、なんだかワクワクしてくる。

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