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キラキラ

第34章 バースト9


「無理。他当たって」


吐き捨てて、立ち上がった。
ところが、

「いや、でもさーお前と俺が組むのが、一番優勝できる可能性があるって、みんな言うんだよね」


そう言って、生田はのんびりと俺を諭してくる。
すると、傍らの女子が、そうそう、と、援護してきた。


「男女で出たらただの仮装でしょ。エンターテイメント要素も加点されるから男男で出た方が絶対いーの!もちろんお笑いに走るならー、松本がジャックで生田がヒロインなんだけどー。生田がジャックで松本ヒロインならマジで優勝狙えるから!」

「…………」


目眩がしてきた。

ヒロイン……この血みどろドレス着ろって?
俺に?


ぜってーないわ……俺、翔に殺される。


黙っていたら、ふと視線に気づき、周りを見渡す。
すると、クラス全員が、俺と生田のやりとりを固唾を飲んで見守っていた。


……まじかよ。


「……帰る」


そのすがるような視線に耐えられず、俺は顔を背け、乱暴に鞄をつかんで、教室を出た。


なんだ、これ。
俺が悪いみてーじゃんかよ。


こんな騙すような感じで、重要な役割をおしつけて勝手だろーが。
まぁ……そもそも俺が聞いてないのが悪いんだけど。


イライラして、大股で廊下を歩いてると、後ろから、


「やろうなー。一緒に!」


と、生田の声が追いかけてきた。


俺は無視して早足で歩き続けた。

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