
キラキラ
第34章 バースト9
「できたー!生田ー!」
そこへ、衣装担当の女子たちが、委員長である生田に、完成を報告しにきた。
生田は、色塗りをしてた筆をとめて、顔をあげた。
「おお!すげーじゃん!」
「でしょ?でしょ?」
俺は彼女たちが手にしてるものに、何気なく視線をやり……目を剥いた。
ドレスのように長い、真っ白のワンピース。
レースが裾にあしらわれた清楚なものだ。
だが、それがあちこちリアルな血糊で汚れてる。
いや、血しぶきとでも言おうか。
実に生々しい恐怖をまとったものになっている。
……これじゃ、まるでゾンビだ。
これこそハロウィンだ。
お化け屋敷だぞ?
フツーにうらめしやじゃねーの?
俺が、若干ひいてても、生田と女子はその完成度に盛り上がってる。
「すげー、これ!めちゃめちゃリアル」
「でっしょー。最後、絵の具で汚すのもったいなかったんだけどさ」
生田が手放しで褒めるものだから、女子は鼻をふくらませて興奮して説明している。
「生田ーこれもいーでしょ?」
別の女子は黒の燕尾服のようなものをみせてきた。
それも、ところどころひっかけたような傷みかたをさせ、古めかしい感じに仕立てあげてる。
まるでバンパイアのような。
「ど?これ。イメージは切り裂きジャック」
「おー!いーじゃん。かっこいいじゃん!」
「やっぱりー?」
その他にも、白の浴衣に、血潮をまぶしたものとか、魔女風な真っ黒なドレスだとか。
「なんかリアルすぎてこえーわ。すげーな!」
生田が女子たちの作品を一つずつ見ながら、褒めちぎっている。
……和洋折衷でも、特に問題ないらしい。
そばで聞いてたら、一からつくるわけではなく、古着などからリメイクして、製作していったようだ。
……すげーな。
