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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


甘く柔らかな唇を、何度も啄み、そっと顔を離した。
サトコ様が物足りなそうに、口を薄く開けたまま俺を見たけど。


ごめん……もっとしたいけど、これ以上はできない。


口にできない想いを、表情で伝えた。

暴走しそうになっても、頭のどこかにつねにある理性が、俺を律する。

だって……ここはよその城だ。
どこで誰が見ているかなんてわからないから。
恋人同士になるのは、大の国の城でのみ。
それが俺たちの関係のルールだ。


抱き締めるサトコ様の体から、断腸の思いで手を離す。

頭のよいサトコ様はそれを察して、自分も涙を拭きながら一歩後ろに下がった。


ごめん……


ううん……



サトコ様が目をこすって、想いをふっきるように顔をあげた。



「……なんでこんなとこにいるの?」

「……そっくりそのままお返ししますが……」

「俺が先!答えてよ。俺、ミヤに会いたくてこの国に来たんだよ」


真っ赤な目を擦りながら、訴えるサトコ様の顔に、胸をうたれる。


「……しかも、なんでそんな格好してんの」


サトコ様の不思議そうな指摘は最もで。

俺が身に付けてるものは、ただの使用人が着るようなものじゃない、のは明らかだ。
王族が着るような上等な生地のシャツに、パンツ。
宝石が縫い付けてあるような代物は、今だかつて袖を通したことなんかない。


「そうですね……どこから話せばよいのか……」


俺は、考えながら、おばあさまの家に父さんが来たところから、かいつまんで説明した。

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