
キラキラ
第33章 🌟🌟🌟🌟🌟
こんこんこん
軽やかなノックの音に、マリウスが気づき、出ていったのがわかった。
さして気にもとめず、ここのスープおいしいなー、と、のんきに味わっていたら、しばらくしてマリウスが俺のそばに戻ってきた。
そして、腰をおり、その端正な顔を俺に近づけてきた。
??
俺が、スープを飲みながらきょとんとふり仰げば、マリウスは少し開いたままの入り口を、優雅に指差す。
「……この城の姫君であられますカエラ様から、サトコ様に茶会のお誘いがきております。いかがいたしますか」
「……っ……?」
俺は、熱々のクリームスープを思いきりごっくんと飲んでしまい、うっ……と息が止まった。
ショウが心配そうな顔で俺を見てるのがわかって、慌てて恥ずかしくて、なんでもないフリをした。
いやいや、それよりさ!
カエラって……昨日のカエラだよね?!
「……お茶……ですか?」
興奮をおさえてたずねると、マリウスは、はい、と頷いた。
「カエラ様のお部屋で、女性同士で、美味しいケーキでも食べませんか。とのことですが」
「……えっと……」
こんなに早くチャンスがおとずれるとは思わなかった。
……ミヤのことが、何か分かるかもしれない。
カエラが同じ城にいるならば、いつか会えるかも、と思っていたけれど。
思わずショウの顔を見た。
すると、ショウは優しく頷いた。
「……お受けしたら、いいと思いますよ」
昨日のカエラとのやりとりや、俺が事故直前にミヤの声を聞いたことを、ショウたちは知らない。
でも……まぁ、不確実なことだから……ちゃんと分かってからでいいかな……。
俺はマリウスに、頷いた。
「はい……喜んで、とお伝えください」
