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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


すると、彼は決まり悪げな顔をして。


「……ちょっと……あまりお腹がすいてなくて」


俺の気遣わしそうな視線から避けるように、目をそらした。

俺は驚いて、思わず手にしてたシュガーポットを落とすところだった。


ほら、やっぱり大丈夫なんかじゃねーじゃん!
確か昨日の夕食も、食べてなかったし……どうしよう。


「え……大丈夫?フミヨさん呼んでこようか」


俺が、あまりにも顔色をかえて、慌てているのをみたショウが、自分の皿をじっと見つめてからのち、ふっと笑った。


「……姫。大丈夫ですよ。こいつは腹が減ってないんじゃなくて、食べたくないだけです」


謎かけのような言葉に、俺は、はあ?となる。


「それが心配だっていってるんです」

「いえ、そうじゃなくて……」


ショウは、にやにや笑いながら、ジュンのそばに歩いていき、おもむろに彼の皿のサンドイッチを手にした。
そして、片方のパンをめくって中の緑のものを抜きとって、自分の口にほおりこんだ。


「ほら」


ショウが、あるものがなくなったサンドイッチを、なんともいえない顔をしてるジュンにつきつけると、ジュンは、


「ばらすなよ……」


と、呟いて、それを左手で受け取った。


俺は、ぽかんとしてそのやりとりをみつめる。
ショウは自分の指をペロッとなめながら、くすくす笑って、俺のいるテーブルに戻ってきた。


「好き嫌いは俺の方が多いんですが。唯一あいつが苦手で、俺が大丈夫なものがピクルスなんですよ」

「……はぁ……」


ピクルス……


「サンドイッチにはさまってるのをみて分かりました。いつも何気にスルーして食べないのですが、今日は片手が使えないから、ここから取り除くことができなかったんでしょうね」


ジュンに目をやると、彼は少し赤い顔をして、サンドイッチをパクついてる。


……なあんだ


ジュンにも意外に子供のような面があることがわかり、笑いがもれる。
さらにそれを分かってて、フォローするショウも素敵だ。


本当に魅力的な二人だな……


改めてそんな風に思いながら、俺はシュガーを山ほどいれたコーヒーにもう一度口をつけた。

少しまろやかな口当たりになった。

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