テキストサイズ

キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟



マリウスが朝食を運んできてくれた。


部屋にあるテーブルに綺麗に並べられてゆくのは、野菜のサンドイッチにサラダにスープ。
キラキラしたレタスが美味しそうだ。
一緒についてる黒い飲み物は……なんだろう。

カップに顔を近づけてくんくんと匂いをかいでいたら、ショウがくすっと笑って、手近にあったシュガーポットをこちらに押し出した。


「コーヒーという飲み物です。コーヒー豆を焙煎して挽いたたものなんですが……姫には少し苦いかもしれませんね」


苦い……?

芳ばしい香りはするけれど。


なんだか興味がわいてきた。

濃紺のカップは、手にとると熱い。
金色の縁にそっと口をつけて……ほんのちよっと舐めてみた。
口内に広がる独特な香りに、思わず顔をしかめた。


舌をだして、にが……と呟いたら、一部始終を見ていたショウとジュンが笑った。


「コーヒーは、この国の特産品です。城でだされるものだから、きっといい豆を使っているはずですよ」


ショウは、カップを持ち上げ、いい香りだ……と呟いてそれを美味しそうに飲んだ。
俺は、信じられない思いで彼を見つめる。


飲んだ。
え、真っ黒だぞ?
嘘だろ?


「……俺たちは、公務で他の国に行くことか多いから、いろんなものを口にする機会が多いのですよ」


ジュンがおかしそうに笑った。
そして片手をあげて、部屋のすみに立っているマリウスを呼んだ。


「ごめん。姫には紅茶をいれてあげて」

「承知しました」


……なんか悔しいな。
国に帰ったら、ミヤに取り寄せさせて、美味しく飲める方法を考えてみよう。


カップのなかにドサッとシュガーをほおりこみながら、考えた。

ふと、ジュンをみたら、食事をする俺たちをにこにこしながら見ているが、ベッドに横たわったままだ。
ベッドサイドに小さなテーブルをおいてもらって、そこにジュンの分は並べられているが、手をつけようとしない。


「……ジュン?食べないの?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ