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キラキラ

第5章 hungry


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好きか嫌いか。

そんな単純な2択で、今の気持ちをばっさり切りわけるならば、好き、なんだろう。

でも、姿を見るだけで嬉しい、なんて、こんな乙女みたいな感情を、簡単に、恋なんてあてはめてしまうのも、早計だ。とは思う。

でも……かといって、憧れ…とも違う気がする。

いやいや、大体にして、ここ男子校だし。

………そういうこと考えること自体がおかしいよな。

ただ、二宮の指摘が、どうにも心をざわめかすんだ。

ああ……自分の感情が分からない。



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そんなことを繰り返し考えてたある日のこと。

いつになく、イライラしてた自覚はあった。

その日は2年、1年、無作為にシャッフルしてチームを作り、試合形式を行ってた。

いつもの、レギュラーチームではないのだから、思うようにパスが通らないのは、当然と言えば当然だった。

分かってはいたことだ。

雅紀なら、あ、うんの呼吸で通じることが、通じないことも。
俺のスピードについてこれないのも、何人かいることも。

だけど、あまりといえば、あまりな動きに、

「いい加減にしろよ。なにしてんだ、試合の運び考えて動け!」

キレた俺は怒鳴ってしまった。


すると、1年は、素直に「はいっ、すみません!」と、返事をしてきた。
けど、2年は複雑な顔だ。
そりゃそうだろう。
キャプテンでもない、同級生に、怒鳴られて楽しいわけない。

「翔ちゃん、落ち着いて」

雅紀が、低くたしなめてくるが、とめられない。

「うるせえな!」

一喝する。

「あー…もう。…10分休憩」

パンパンと手をたたき、雅紀が仕方ないな。というように、休憩をはさんだ。

俺は、もってたボールを、乱暴に放り投げ、タオルをつかみ、体育館の外にでた。


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