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キラキラ

第5章 hungry


「お前か…?最近転入してきたっていう、三年生のニューフェイス」

包帯をくるくる巻きながら、松潤が思い出したように尋ねると、大野さんは、「はい」と、こくんと頷いた。

松潤は、全学年、全生徒の顔と名前をほぼ把握してる。それは、保健室に来る来ないに関わらず、らしい。

ちなみに、おれは、入学後、一番始めにインプットされた生徒らしいけど。

「どうだ? 大分この学校にも慣れたか?」

ん?と、松潤が優しく問いながら、よし、出来た、と包帯の最後をテープでとめた。

大野さんは、「はい……」と、頷いて、俺を見た。

……ん?

「同じクラスのやつがすごい俺の面倒みてくれて。あと、そこの櫻井も、俺が困ってるとき、助けてくれました」

ね、というように、首をかたむける大野さんは、超絶に可愛い。

俺は、思わず赤くなって、ああ、まあ……と、曖昧に返事をした。

「へえ……」

松潤が、ふうんという顔で、こちらを見てにやりと笑った。

なんだよ、とにらみ返したとき、学校中に、五時間目が終わったことを告げる、間延びしたチャイムの音が響き渡った。

さすがに六時間目はでなくちゃな……。

俺はベッドからおりて前髪をかきあげた。

「……俺も帰ります」

「おう」

ありがとうございました、とぺこりと頭を下げる大野さんに続いて、出口に向かう。

松潤が、救急箱を片付けながら声をかけた。

「その傷口、今日は、水につけんじゃねえぞ」

「はい」

「あと櫻井」

「……なに」

呼び止められて、俺は怪訝な顔で、振り返った。
松潤は、悪い顔で、笑って言った。

「……胸、苦しくねえか」

「…………苦しくねえよっ」

「え。櫻井、しんどいの?」

「大丈夫ですからっ」

「まだ、寝てたら?」

「いや、ほんとにっ」

心配そうに、見上げてくる大野さんに、真っ赤な顔をしてるであろう俺は、必死で首をふる。

チラリと松潤を睨んだら、松潤は、おかしそうな顔で、手を振っていた。

……バレてんじゃん!

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