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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


「決まりね。10時くらいに私の部屋に来てね?」

「……お部屋を存じ上げませんが」

「ショウリにでも案内させればいい話でしょ」


そんな簡単なこともわからないの、とでもいうように、カエラはじろりと俺を見た。
部屋を知らないから行かない、という理由は通じそうにない。


「よし、今からその子に、声かけてこよーっと」


ピンクのワンピースの裾をひるがえし、軽快に立ち上がったカエラ。


「……いってらっしゃいませ」


だが、そんな茶会に全く興味がない俺は、手を振って見送ってから、どっと疲れてしまった。

きっと、茶会自体も疲れるだけだ。
お茶飲んで、ケーキ食って喋るんだろ?
知らない人も交えて、何喋れっての。

だが、カエラがあの手この手で、俺を少しでも元気付けようとしてくれることが分かるから、無下に断ることもできない。


ああ……憂鬱だ。


俺は窓の外を眺めて、ため息をついた。


気分転換に庭でも歩いてこようか……。


雨が降る前の、湿気を含んだ空気は嫌いじゃない。
緑も瑞々しく、植物が元気に見える。


バラ祭りには行ったものの、実際に花を愛でたわけではないし。
たしかここの庭には、バラ園があったな……。

俺はショウリに声をかけ、少し散歩することにした。

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