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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


「そのへんは……あんまり分かんないけど」


この部屋から基本出ない俺は、カエラとショウリに頼まないと、今や何も情報を得られない立場になってしまった。

そのカエラの話だと。

一度別れさせられた相手を、再び連れてきたタクヤ様……父さんに、周りの反応は予想以上に厳しいものがあったらしい。

特に、当事、直接それに関わった陛下の側近の連中は難色を示しているようだ。


だが、一方で、一生独身を貫く、と豪語していた第一王子が、いきなり嫁さんを連れてきたものだから、戸惑いながらも歓迎ムードをだしてる人々も一部ではいて。


「私たちは全然いーの。リョウ兄さまも跡取りとか興味ないし。お父さまも、人の上にたつのはあまり好きじゃないから、タクヤおじさまがこのまま王位を継承すればいいんだわ。ただ……まわりのじーさんたちがね……」


カエラが、はぁーと大袈裟にため息をついた。

どこの国でも一緒だな、と思う。

当事者より、周りの人間がややこしいのだ。
昔から仕えてる人間は、現状維持を求め、状況の変化を好まない。

だからつまり。


「やっぱり俺が原因なんですね……」

ぽつりと言ったら、そうだとも言えないカエラが複雑な顔で、グラスを傾けた。


もし、タクヤ様と母さんが正式に結婚したら、二人の子供である俺は、タクヤ様が王位を継がれたら、その次の第一候補者になってしまう。

突然現れた俺が、皇太子だ。

周りが嫌がるのは、つまりそこなのだろう。

子供のいないタクヤ様のかわりに、弟であるカエラたちの父親が王位を継承する可能性もあったという。
リョウ様がいるからだ。


……くだらないと思う。
俺は、この国に残る気なんかさらさらないのに。



「母さんさえ……幸せになれたら、俺は大の国に帰りたい、と、そう伝えたはずですが」


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