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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


ハッとして振り返ると、短いグリーンのワンピースをきた女性が、きょとんとした表情で立っている。

年のころは20歳代といったところか。

大きな目に大きな口。
パーツがはっきりした子だなというのが第一印象。

短く切り揃えられた髪の毛が健康的で元気なイメージを醸し出していた。

この城の人だろう……。

王族だろうか。


「あ……えっと」


自己紹介しようとしたら、その子にいきなりスカートをめくられた。
俺は、長めの丈を好んで着るため、足首近くまであるスカートだから、膝くらいまで持ち上がっただけだけど。


「?!」


え?っと、驚いて後ずさろうとしたら、


「やっぱり。血がでてるよ」


その子に指摘されて、視線をおとす。
すると膝からスネにかけて、派手に擦りむいてて。
乾いた血が筋になって足首まで垂れているのがわかった。


ジュンに助けられたとき、石畳に転んだから、きっとそのときだろう。
だけど、痛みなんか何も感じなかったし、着丈のせいで見えないものだから、ショウも誰も気がつかなかったのだ。

ワンピの裾から足首まで僅かにみえる生足の血の筋に、この子が気づいたということだ。


わあ……


砂も入っていそうな結構な傷口を、他人事のように見つめる。
痛くもなんともないそれに、


「……全然気がつかなかった」


呟いたら、その子は、えー?とびっくりしてみせた。


「そんだけ血がでてるのにー?痛いじゃん。フミヨさんいたでしょ?おいで。手当てしてもらお」

「え、いや……そんな……」


あわてて辞退するも、その子は俺の手を握り、ぐいぐいと引っ張り始めた。


すげー力……


手を繋がれたまま歩く。

来た道をもどってる感じから、ジュンを手当てしてくれた医者のもとに行こうとしてるのが分かった。


あのニコニコした小柄な医者……フミヨさんっていうんだ。


ぼんやり思ってると、その子が振り返って尋ねてきた。


「あなた昼間の事故の子?」

「……はい」

「大変だったね……ごめんね。うちの城の馬車だったらしいじゃん」

「いえ……あれは私が悪くて……」

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