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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


Satoko



隣の部屋をノックして、医師のじいさんに声をかけたら、


「すぐに行きます」


と、言われた。

だけど、俺は、何食わぬ顔をしてジュンのそばにもどるにはちょっと時間が欲しくて。

御手洗いに……と、理由をつけて、その場を離れた。




長い廊下をゆっくり歩く。

二の国の城は、左右に広い俺の城に比べ縦に長い。すなわち天井が高い。

手すりなどに施されてる細かい細工や、ステンドグラスなどの装飾など、あちこちがキラキラしていて、美しい城だ、と思った。

だけど、さすがに好き勝手歩き回るわけにはいかない。
御手洗いを探すふりができる距離にはとどまらないといけない。

……俺は、広い廊下の途中にある、大きな窓の前で立ち止まった。

外を見ると、夕焼けに赤く染まっていた空は、既に暗くなってきており、次第に漆黒の闇に変わろうとしていた。


「…………」


俺は軽くため息をつく。
ミヤを探しに入国したはずなのに、何の因果か二の国の城にいるなんて……こんなこと誰が予想しただろう。


今頃、俺らの身分も、ここのお偉いじいさんたちに報告がいっているだろうし……。

場合によっては連れ戻される可能性もありえるなぁ……。


だけど、ジュンの体が最優先だから。
連れ戻されそうになったら、全力で抵抗しなくちゃ……。


あえて頭から追い出そうとしていた、さっきのジュンとのキスを再び思い出す。


熱い唇だった。
反応しそうになった自分の体にもびっくりしたし、冷静でいられなかった自分に驚いた。



……てか、どうしよう……考えたら、俺、ショウともジュンともキスしたわ……


優しかったショウのキス。
熱かったジュンのキス。


……ミヤの顔が頭をよぎった。


ごめん……ミヤ……俺、すげーハレンチなことしちゃった……

……だけど、おまえがいなくなるのが悪いんだぞ!そうでなかったら俺は……

ぶつぶつ自問自答してると。


「……どなた?」



背後から、不思議そうな色をもつ、可愛らしい声音がした。


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