
キラキラ
第33章 🌟🌟🌟🌟🌟
「飛び出したあなたをみて……ひとりでに体が動いた結果だ」
「うん……」
「……それだけなんです」
「うん……ごめん……」
頷いて、なおも泣き続ける俺に、
「……姫は……案外泣き虫なんですね……」
くすりと笑われた。
そーだな……結構こいつらの前で泣いてるよな、俺。
そう考えるとなんだか恥ずかしくなり、ジュンの手のひらから体を起こし、ワンピースの袖で、乱暴にゴシゴシ涙をふいた。
ジュンは、そんな俺を優しい目で見つめてくれている。
いつもの少し強引なエロ王子っぷりは、なりをひそめ、包み込みような深い深い愛情をそこから感じとれて、戸惑う。
だから……俺はミヤのものなんだってば……。
そういう目……困る……。
いたたまれなくなった俺は、そのジュンの視線から逃れるように立ち上がった。
ジュンが、つと顔をあげた。
「……どこへ……?」
「医師のじいさんを呼んでくる。お前が目覚めたら呼んでっつってたから。ついでに、なんか欲しいものある?水とかいる?」
ぐらりとほだされそうになった自分の気持ちを、誤魔化すように早口でいうと、ジュンはちょっと考えるような顔をした。
包帯を巻かれた額に、軽く左手をのせ、じっと黙る。
右手は、怪我をして動かせないから、投げ出されたまま。
ジュンは利き腕は右だったはず。
……これ、いろいろ不便だろうな……
そんなことを考えていたら。
「……キス」
……え?
ジュンが小さく呟いた言葉に、俺は耳を疑う。
なんつった……?
「俺はずるいので……あなたが困ることをあえて言います……あなたのキスが欲しい」
一度でいいから。
緩く笑い、ジュンはそう言った。
俺の心臓はとたんにドキドキと暴れだす。
指が震えるのを、ぎゅっと拳を握ることでかくした。
……つかさ。
おまえ、俺がショウとキスしてたの見てたろ?
実は歩けんだろ。そんで、のぞいてたろ?
心で、ありえない突っ込みをいれながら、俺を見つめるその綺麗な黒い瞳を、じっと見返した。
