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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


三人だけになった部屋で、ショウが何かを考えるように、顎に指をあてた。

……なに?


「……ショウ?」


よびかけると、ショウは、窓の外をチラリとみあげた。
つられて俺も目を向ける。
事故から何時間もたってる空は、すっかり夕焼けに赤く染まっていた。

いつのまに……

少し驚いてると、ショウがうかがうように、俺の顔をみた。


「……サトコさま、ちょっと、俺……出てきてもよろしいですか」

「……今からですか?」

「はい。このままここに全員でいると、フウマが心配すると思うのです。一度帰って、事情を説明してまいります」

「……あ……そっか……」

「あいつのことだから、きっと、今日も全員分の食事を作って待ってるはずで……」


ショウが、苦笑する。


そうだ。一人で、留守を守ってるフウマ。

雑用全てを一手にひきうけ、俺たちの食事も気にしてくれてる。

今朝なんか、朝から市場にでかけ、美味しい朝採れの野菜でサラダを作ってくれた。
笑顔で俺らを送り出してくれたフウマは、おそらく夕飯も一生懸命支度してくれてるはずだった。


「……夕飯。フウマと食べてきてください。私とジュンのぶんも」

「……倍以上食べないといけませんね」


ショウはくすっと笑った。


「……場合によっては、こちらに戻るのが遅くなるかもしれません。……お一人で大丈夫ですか」

「大丈夫です。フウマにごめんねって……つたえてもらえますか」

ショウはにこりと笑って、必ず、と頷いた。




ベッドサイドに、小さな椅子を持ってきて、ジュンの顔をのぞきこんだ。

一通りきちんとした手当てを受けたジュンは、真っ青だった顔色も、今は、頬に少し赤みもさしていて、安定しているようにみえた。

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