
キラキラ
第33章 🌟🌟🌟🌟🌟
翌朝、市場で食材を買ってくる、というフウマと別れ、俺たちは町に出た。
城下町の花屋は、ただ一軒のみと聞いていたので、案外すぐにその場所は判明し、俺たちは無事に探し当てることができた。
ここにミヤが……?
小売店が立ち並ぶ一角にある、可愛らしい店構えの建物。
両側は、靴屋と、雑貨屋に挟まれたそこは、明らかに休業中。
深いグリーンのカラーの屋根はたたまれ、正面の扉はピッタリ閉じられている。
なんだか……人の気配もないのは気のせいか。
「ここで間違いないですか…?」
「はい。そのはずです」
俺は、扉をコンコンとノックした。
何度かしてみたが、中の人間が出てくる気配はない。
「ごめんくださーい!」
俺は声を張り上げた。
しばらく黙って耳をすませたが、反応はない。
誰も出てこないのはどういうことか。
ミヤとタエ、一緒に外出中ということか。
「いない…?」
訝しげに呟くショウを、強く否定する。
「そんなことありません」
いるもん。
絶対ここに。
だって花屋だっていった。
花売りの店は一軒しかないっていった。
何度か声をかけていたが、あまりの反応のなさに、しまいには、俺は拳でガンガンとノックしながら、誰かいませんかー!と、叫びだした。
通りを行く人々が何事かと振り返ってゆく。
「留守じゃないですか……?姫、落ち着いて」
俺は、たしなめるように肩におかれたショウの手を力任せに振り払って怒鳴った。
「うそだ!絶対いる!」
だって、ここじゃなかったらどこにいるってんだよ?!
病人おいてどこ行くってんだよ?!
俺は泣きそうになりながら、声を張り上げた。
「すみませーん!!」
「姫……!」
続けて扉にふりあげた拳を、ジュンが受け止め、制止されたが、俺はきかなかった。
扉を蹴ってやろうかと足をあげかけたとき、
「花を買いに来たのかい?」
後ろから、優しい声がした。
