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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟



宿に到着した。


「ふうん……まぁまぁじゃん」

「うん……綺麗にしてるね」


チェックするように、ショウとジュンが部屋を見渡す。

ちょっと豪華なアパートメントみたいになっているそこは、想像してたものより広かった。

もちろん俺らが住む城とは、部屋の大きさなどは比じゃないが、寝室のベッドもそこそこ大きいし、文句を言える立場じゃないのは分かってるし……寝れりゃ俺は、はっきりいってなんでもいい。

俺は、フウマから受け取った荷物を、みんなとは少し離れた別の部屋におしこみ、はやる気持ちを隠しながら、玄関に向かった。


早くしないと日が暮れちゃう……


何時間も馬車で揺られて疲れてるはずの彼らに同行させるのは申し訳ないから、一人でちょっとだけ町の様子を見にでようと思った。

フウマがいれたお茶を飲んでくつろいでる二人を確認して、俺はフウマにこっそり耳打ちした。


「フウマ、私、少しだけ外に出てきますね」

「はい……え!?」


返事をしかけて、フウマが大きな声をあげたので、小さく、馬鹿っと叱責した。


「お二人に聞こえるでしょう!」

「いや、しかし……」

「大丈夫。すぐ戻ります」



花屋の場所だけでも、確認しておきたい……



そう思って、身を翻しかけた腕を、力強い手にがしっとつかまれた。

はっと振り返ったら、ジュンがあきれた顔で立っている。


「……どこに行かれるのですか」

「…………ちょっとだけ……町へ」

「ダメです。もうすぐ日が暮れます。知らない土地は夜は動かない方がいい」


俺は、うつむいた。


分かってる……!
分かってるけど!


「……いてもたってもいられないから……」

「気持ちはわかります。明日、朝早くから動きましょう。俺たちついていきますから」


ショウが優しくフォローしてくれて。


この二人の目を盗むのは不可能とあきらめた俺は、小さく頷いた。

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