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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


Satoko



さすがに、プライベートとはいえ、三人とも各国の王族なのだから、粗末な宿に泊まるわけにもいかない。
見栄とか云々ではなく、立場上何かあったら大問題になるからだ。


フウマは、どこから情報をしいれてきたのか、二ノ国の一般市民が泊まるには、少々頑張らねばならない程度のクオリティの宿を探し当ててきた。

簡単なものならつくれるくらいの台所がついている、滞在型の宿泊施設だ。


「ただ……一つしかあいてなくて」


一応、寝室は二部屋あるのですが……と、フウマが困ったように報告してきた。
ショウとジュンが顔を見合わせ、俺をチラリとみた。

そうか。俺だけ女だから……と、思ってるんだね。

俺はニッコリ笑って、かまいません、と言った。


「いや、しかし……女性と同じ部屋は……」


ショウがぐずぐず言うから、俺はだめ押しに言ってやった。


「お二人が、守ってくださるのでしょう?寝室が別ならば、問題はないです」

「……さすが姫様」


ジュンがにやりと笑った。

こういう問題は、くそ真面目なショウより、ある程度臨機応変に対応するジュンの方が話がわかる。

そ、そうですか?と、あわあわしてるショウを見て、俺も、ふふっと笑ってみせた。


この旅には、ショウとジュン、さらにフウマもついてきている。

付き人をひとりもつけないのも、何かあったときに困ると思った俺らは、ショウ付きのフウマに同行させた。

ジュン付きのソウは、櫻の国と松の国をはしごして、二人が寄り道して帰る旨を伝える役目になった。

『えー。俺もそっちにいきたかったなー』

ソウは、口を尖らして渋っていたけど、ジュンに頼むな、と言われると、もうそれ以上は何もいえないみたいで、しぶしぶ、はい、と頷いてた。

王子二人と、フウマの三人が同じ部屋にいるのなら、相互牽制になって、むしろよいだろうと考える。

これがジュンと二人きりとかなら、身の危険を感じるけどな。


俺は、宿に向かう馬車から、目の前に広がる町を、じっと眺めた。

遠くに城がそびえる城下町。
人々が平和に生活している、この中のどこかにミヤがいる。

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