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キラキラ

第31章 イチオクノ愛


その黒目がちな瞳の奥に、ギラリと何かが光った気がして。

やっぱりこいつは信用ならーん!!と、俺は、再認識した。
噛んでやろうか。
みえないとこなら大丈夫かな、と物騒なことを思っていたら、


「にのと相葉くん、メイクどーぞ」


そこへ、松潤たち三人がもどってきた。
いちはやく、松潤が、俺に気がつく。


「あれ……その犬」

「また、俺が拾ったの。ハルオっていうの」


にのが嬉しそうに抱っこした俺を松潤に向けた。


「へぇ……結局、にのん家の子になったんだ」

「すっかり、なついてんじゃん」

「まあね。メイク行くから、J、ちょっとこいつ見といてー」

「え。俺?」

「大丈夫。鳴かないし騒がないから」


んしょ、と、いうにのの声とともに、俺は、少し不安な顔をした松潤の腕のなかに移った。


ふふ……大丈夫だよ。松潤。
一回抱っこしてくれたじゃん?
おれ、おとなしいよ。


俺は精一杯可愛くしっぽを振り、松潤にしがみついて庇護欲を煽った。

あまり動物に好かれない松潤は、そんなことが嬉しいのか、可愛いな、と満面の笑み。

翔ちゃんと、リーダーにも囲まれ、とりあえずは居場所を確保した俺は、かしこいペットを演じ続けた。

メイクから二人が戻ってきてからも、俺はかわるがわるメンバーの腕の中に抱かれたけど、偽相葉だけには、牽制して、決して行かなかった。

みんなが、


「相葉君だけ、動物に好かれないなんて珍しい!」


と口々に言うけどさ。


あたりまえだろ、ばーか。


そうして、松潤がくれる水やら、リーダーがくれるクラッカーなんかを食べて、撮影までの時間を緩やかに過ごした。



やがて撮影が始まり、五人が出ていった控え室にて。

しんとした部屋のソファーにおとなしく寝そべっていたら、小さくカチャリとドアがあく音がして、俺は耳を震わせた。

俺は、警戒度マックスで、入ってきた気配に立ち向かう。


……来たな。


思った通り、そこには困ったような顔の偽相葉が立っていた。

撮影の最中に、抜けることなんか普通はできない。
大方、腹を壊した、とでも行ってきたのだろう。


グルル……と、俺は唸り声をあげる。
全身で警戒する。


……おまえ……誰だ?

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