
オオカミさんの恋毒
第1章 出会いと挨拶
店の前にまで群がる女性客を掻き分ける社長の大己が私の肩に手を置き支えて店の中に連れていく。
あ~ みんな見てる…
鏡越しに私を見る朝開店前に会った人と、先程会った人と順に目が合う。
鏡から見られてるっ
「 おい、未夢いるか?救急箱頼む 」
大己に一番奥に連れてこられて扉を開けると 二畳ほどの部屋があった。
「 はい、救急箱です。どうかしたんですか?」
わ… キレイな人。
瑠璃さんの言ってた通り美男美女だな、この店…
「 葉月ちゃんが怪我したんだ、見てやってくれ。葉月ちゃん、コイツは未夢だ、手当てしてもらって、休んでなさい。瑠璃の店は俺が見てるから 」
「 えっ そんな、大丈夫で、す… 」
行っちゃた。今の社長 喜んでなかった?
「 私は 棚田 未夢よ。お隣なのに、挨拶出来なくてごめんね… 改めてよろしく 」
「 いえ、こちらこそ!宮河 葉月です、よろしく 」
なんか嬉しいなぁ 友達になれるかなぁ…
私は未夢に手を出して 痛みをこらえながら消毒をしてもらう。
未夢と互いに話すうち、歳も近いため 敬語はやめて 名前で呼び合おうと未夢に言われ話していた。
そこに タオルを取りに部屋に入いってきた人が私をじっと見る。
あれ、朝の人…
「 圭吾くん、タオル?」
「 ああ。あんた葉月だっけ… 名前 」
私の顔を覗き込むように見てくる圭吾に なんとなく顎を引く。
「 彼は店長で圭吾くんだよ。ついでだからみんな紹介したげるね!来て 」
え、来てって、仕事中だよ?
