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オオカミさんの恋毒

第1章 出会いと挨拶


圭吾を無視して未夢は部屋のドアを開けて私を呼ぶ。

ドアを半開きにして店内を覗き見る。



「 葉月、右にいるのが渡部 京弥くんね、左にいるのが赤嶺 臣くんだよ。後ろにいるのは圭吾くんね 」

「 みんなイケメンってほんとなんだね。未夢ちゃんもキレイだし… 」



そう言った私の顎を後ろから伸びてきた手に上を向かされ驚く。



「 お前も可愛いぞ、俺と付き合うか?」



圭吾が近すぎる距離で私を見て言った。

赤面する以外に表情は変えられずいると、圭吾が ふっと笑みを見せて私の顔を離した。



な、なに今の… 付き合うかって、それってどういう意味!?



「 またぁ 圭吾くん そういうのやめなよ、葉月 固まってるでしょ~ 」



あ… もしかして 私 からかわれた?

冗談で言ったんだ…… なんかムカつく。




「 葉月、気にしちゃダメだよ 」

「 うん 」



イケメンって モテるから 私も見に来てるお客さんと同じに見えたのかなぁ…



圭吾がタオル持って店に戻ると、臣が私と未夢のいる この部屋に来る。

数歩の距離なのに、スローに見える臣の歩く速度。

静かにトクンッと小さく跳ねる心臓も 臣が近づくにつれ 早鐘を打っていた。




「 未夢、ヘルプ入れ 」

「 うん、 葉月またね!」

「 ありがと、未夢ちゃん またね!」



私はそのまま部屋から出ようとすると、立ちはだかる臣に押されるように後退し部屋に戻ってしまった。



「 あ、すみません… 今出ますね 」



やだ、出れなかった。



「 手は?」



部屋を出ようとすると臣に怪我した手のことを聞かれた私は臣に振り向き笑顔で 大丈夫だと言ったが、じっと私を見る臣に、私は目が泳ぐ。



見てる…よね?

なんか変かな、私…



「 今日ヒマ?」



ん? 今 私に聞いたのかな…



「 ヒマかって聞いてんだけど 」



目そらさない人だなぁ

この人も からかってるんだろうな…




「 ヒマじゃないです 」

「 彼氏いるんだ? へぇ 」



なに、その言い方~ やっぱり からかわれてるっ!


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