
オオカミさんの恋毒
第1章 出会いと挨拶
「 います、彼氏います!からかわないでくださいっ 」
私はじっと見る臣の目にドキドキが耐えられず つい、嘘をついてしまった。
そのまま部屋を出ようと ドアノブに手をかけるが、私の手に臣の手が重なり、ドクンッと大きく心臓が飛びはねた。
どうしよう… 動けない…
ふと耳元に気配を感じ少し横を向くと臣の顔が視界に入る。
「 残念 」
臣の一言が耳の奥に響いた。
なにが残念… なんの残念…?
私はそのまま部屋を出て、明るい店内を通り店に戻った。
「 葉月ちゃん おかえり。消毒してもら…… 葉月ちゃん顔真っ赤よ? どうしたの?」
瑠璃の心配する声すら、今の私には遠くに聞こえて届いていなかった。
私は初めて “男”を意識した。
耳に残る臣の声…
止まらないドキドキする胸の奥。
私、なんでこんなにドキドキしてるの…
なんなの…
一人自問自答する私に瑠璃が なにやら楽しそうに私を見ていた。
「 葉月ちゃん、ちょっと来て来て 」
腕を引かれてレジ後ろにあるカウンター前で 瑠璃はニコニコしながら私を見ている。
「 さぁ、話してみて。セラフでなんかあった?」
瑠璃さん、なんでわかるのっ
「 な、なんにも… 」
「 あら?ちょっと、嘘つきねぇ その顔はなによ~ 」
顔? 顔が、なに?
