
オオカミさんの恋毒
第1章 出会いと挨拶
転げ落ちた肥料を目で追い、セラフのイケメンを見ようと女性客が立ち並ぶ中で 花屋の店先にまで立っていた女性のヒールのかかとが、固形肥料が転がるのを止めた私の手にぶつかり、私は激しい痛みを感じた。
「 …った!!」
痛ぁい、指が… 熱いっ
「 あ、すいません… 」
「 いえ、大丈夫です 」
手が震える… たぶん血が出てる…
我慢して笑みを見せ、手を足元から引っ込める。
軽くざわついたが 私は指先をもう片方の手で覆い隠した。
偶然なのかタイミングよく この ざわつき
が目に付いたのか 頭の上でざわめきが酷くなり 痛む手から視線を外したとき、目の前には足が見えた。
ふわりと微かな鼻をくすぐるいい香りがした時、次に視界に入ったのは 今まで見たどの男よりも 目に毒なイケメンがいた。
「 大丈夫? 手、どうかした?」
な、に… この顔キレイすぎっ
あまりのイケメンさに見入っていると、押さえつけている手を取られた。
一瞬忘れていた鈍く脈打つ痛みに、私は発狂した。
「 いっ ………たぁーい!!」
見惚れてる場合じゃなかったぁ
ダメだ… 力抜ける…
「 おい!これ爪っ 」
「 い、言っちゃダメ! 私 血がダメなの!」
ダメ…
