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オオカミさんの恋毒

第1章 出会いと挨拶


亜弓の涙に本気で臣が好きなんだと感じた。

私はそれでも、うんと口には出せなかった。

しばらく沈黙していた私たちのテーブルにあるアイスティの氷が溶けてグラスに滴をたくさんつけている。

私と亜弓が喫茶店にいる頃、花屋ルーリーでレジを締める理央の元に 臣が葉月を呼びに来ていた。




「 葉月~ 」

「 あ、どうも… 」

「 お前 誰? 葉月は?」

「 俺、バイトの理央です。葉月ちゃんなら早めに上がりましたよ、友達と喫茶店に行ったみたいで 」




理央は見たことをそのまま臣に話した。




「 友達、ね… それ 男?」

「 女の人っすよ、赤い車に乗った人と一緒に行きましたよ?」

「 赤い車? 理央、その友達はお前が知ってるか?」

「 さぁ、初めてみたけど… 見た感じ年上っすね、あれは 」




理央の話を聞きながら眉間がグッと寄る臣に 理央は葉月がどうかしたのかと不安を抱く。




「 あの、セラフの人だよね?葉月ちゃんどうかしたんですか?」

「 俺は臣、葉月は俺の彼女だ!」




は?と驚き、臣を見るが 臣はそのまま外に出て車を見に行ってしまった。




「 葉月ちゃんが… あの臣さんと、付き合ってる? うそ、マジか!?」




店に理央の呟きが広がったが、 すぐに消えてしまった。

臣は 理央の言っていた赤い車の方へ行き、探してみると見覚えのある車が目に入った。




「 亜弓の車… まさか、葉月と 」




臣はすぐさま喫茶店に走った。

臣が行ったあとに、理央に話しかける圭吾がいた。




「 セラフの店長してるものだけど、葉月いるか? もしくは臣 」

「 あ、知ってます!圭吾さんですよね、臣さんなら葉月ちゃん追っかけて喫茶店に行ったけど、なんか様子が変で… 」




圭吾は理央の話に すぐ外へと走り出て行った。

理央は臣と圭吾の なんとも言えない表情を見て 困惑した。


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