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オオカミさんの恋毒

第1章 出会いと挨拶

亜弓から臣と別れてくれとはっきり言われ驚いていた。

付き合って二日目に 私の憂うつは暗く重く沈みかけていた。

不思議と私は亜弓を見つめて言った。




「 嫌です 」




この一言は私の臣に対しての気持ちの現れだと思う。

臣を好きかどうかより、亜弓に言われたことで、私は今、臣の彼女だと実感したから。

たった1日で、恋と言えないほど未熟な気持ちが少しずつ臣に向かっていると思える。



一目惚れがあって、それが恋の一歩目なら、私はもう二歩目の恋に踏み出している。




「 嫌って… 臣をいつから好きなの? 私は臣を好きになって半年、ずっと思い続けて恋人になって三ヶ月目に突然 別れようって言われたわ。
理由は… 好きな人が出来たからって、勝手よね…
私は納得してないの、臣が好き…
だから、別れて 」




臣くんから別れたんだ…





「 あの… 亜弓さんの気持ちは わかりました。
でも、好きな人が出来たから別れたいって別れたんですよね?
だったら、もう 臣くんの気持ちは戻らないんじゃ… 」

「 だから?」




え…?




「 たった三ヶ月よ… 臣はあなたより私を選ぶ!
だって こんなの納得いかない…
恋人なのに 恋人らしいこと何もなくて 大事にされてると思ってたのに、別れようなんて… 」




亜弓さん…

別れてからもずっと臣くんを好きでいたんだ。

でも、私は臣くんと別れる理由がないよ…




「 お願い… 私に臣を返して、お願い… 」



そんな…



亜弓は泣き出してしまった。

涙で顔を濡らしながら私に臣と別れてくれと懇願するばかりだった。

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