
オオカミさんの恋毒
第1章 出会いと挨拶
「 臣くん… ありがとう 」
「 平気か?」
臣くん、優しい…
「 うん、平…気… 」
じゃなーいっ!! ここ、ここはっ
アダルト!?
見てはいけないけど、つい見てしまう艶の部屋じゃない!
私は気づいてすぐ手で目を隠した。
「 臣くん、出ない?」
「 なんで、おもしろいのに 」
「 おもしろくないから!」
やだやだ、もう!ほんと やだぁ!
「 お願い~ 」
しょうがないなぁと臣は私の隠す手の上に手を重ねて歩き出す。
臣くん、手 あったかい…
突然 自動ドアが開く音がして 冷たい空気が肌をさする。
手が離されて見れば外にいた。
「 あれ、ビデオは?」
「 ああ、なかったから 」
残念だなと思っていると、私と臣の前に一人の女性が立ち尽くしていた。
「 臣? …臣だよね? 」
誰… 知り合い?
「 亜弓… 」
え…… 亜弓?
私と臣の前に現れた人は亜弓という。
この人は臣とどんな知り合いで関係なのか、私は臣を見て ドクンと跳ねた心臓は嫌な感じがした。
「 臣… 会いたかった 」
その言葉を聞いた瞬間わかったのは、亜弓が臣を好きなんじゃないかということ。
会いたかった… その一言は私に重く感じた。
