
オオカミさんの恋毒
第1章 出会いと挨拶
圭吾の一瞬見えた表情を気にする暇もなく、臣に車に乗せられた。
勝手気ままな臣を横目に見ると どことなく嬉しそう。
「 どうする?」
「 何が?」
「 今から 」
今からかぁ~ ん? 今からっ
「 帰るんじゃないの?」
「 んじゃ、ちょっとビデオ屋付き合え 」
車はどんどん走り、ビデオ屋に連れて行く。
ビデオ屋に入ると、見たい映画があるのか洋画コーナーに入っていく。
なに探してるんだろ…
アクションかな?
私はただ臣の後ろをついて回りながら目に入る洋画を見ていくだけ。
端から見れば金魚のフン状態。
臣は歩く速度を上げたと思うと、ピタリと止まり また歩き出す。
ひたすらついて回っていると、以前見たいと思ったラブストーリーが目に止まり、私はビデオを手にとった。
これ、見たかったけど… ずいぶん経ったなぁ~
ビデオをもとに戻して臣を見るといない。
臣くん… あれ?
さっきまで前にいたのに…
「 臣くん?」
私は店内をくるりと回り臣を探すがいない。
違うコーナーへも行き見てみるが臣がいない。
背高いのに見つからないなんて…
ウロウロしながら奥へと行くと 臣の後ろ姿を見つけた。
あ、いた!
「 臣くんっ 」
走って行き背中に手をあてがうと、さっと向きを変えられバランスを崩す私は つんのめり転びそうになった。
のれんがフワッと分かれた時、臣が私を支えていた。
