
オオカミさんの恋毒
第1章 出会いと挨拶
あったかい……
こんなふうに抱きしめられたことすらない私が初めて感じた男という温もり。
当然、身動き取れない私の頭の上から臣が言う。
「 返事は?」
「 返事?」
あ! あの返事? やだ、どうしようっ
っていうか、抱きしめられてるし!
「 俺と特別になれ… 葉月 」
あ… 名前… 葉月って言った。
不思議なもので ただ初めて名前を呼ばれただけなのに、私は頷いた。
「 それ、返事?」
うん、うんと二回頷いた私は 恥ずかしくて 照れくさくて、顔が上げられず 単純に嬉しくて頷いた。
臣の顔はが今どんな表情しているかはわからない。
でも、抱きしめる手が 私の顔を上を向けと促す。
ゆっくり顔を臣に向けると、コツンと互いのおでこが合わさる。
「 よし、今から俺の、俺だけの葉月だ、いいな?」
「 はい… 」
近っ アップすぎっ!
近すぎる距離、互いのおでこで気持ちを交換し合う。
初めて好きだという気持ちが自分の心に湧き出る。
もしかしたら 臣に感じたドキドキする胸の高鳴りが一目惚れしたという意味だったのかもしれない。
出会った数時間後に、私と臣は恋人になった。
こんな出会いがあっていいのかと思うほど、目の前にいる 臣が彼氏だと実感がわかない。
しかも、これが本当の恋だとはわからない。
むしろ、摩訶不思議だ。
