
オオカミさんの恋毒
第1章 出会いと挨拶
私が顔出した時、瑠璃と大己の姿が見えない。
私は臣の後ろで、臣の服を少し引っ張り聞いてみた。
「 臣さん、瑠璃さんと社長いないみたいだけど… 」
すると答えたのは圭吾。
「 社長たちなら 若者で食えって金だけ置いてったぞ、葉月 座んな 」
瑠璃さんなんか企んでそうだなぁ
「 はい、おじゃまします 」
私が臣の後ろから出ようとして軽く押された。
ふと 背中の一部に暖かみを感じて 臣を見ると目が合う。
すいません、とすれ違う他のお客に私は臣が庇い前に出してくれたのだとわかった。
些細な事… でも背中に残る臣の余韻。
私は席に座ろうとして一瞬迷った。
大きなテーブルが真ん中にあり、そのテーブルを囲うようにある席には左から圭吾、京弥、未夢が座っていた。
座れと言ってくれた圭吾の隣に座るか、未夢の隣に座るか…
悩んでいる私の手を圭吾が引っ張り 倒れ込むように座った。
店員が水を運び注文を取りにきた。
圭吾がまとめて適当に注文をしていくが、私の好きなエビは注文されていなかった。
エビチリ…
京弥の後ろにあるメニュー表からエビチリが見えるため、食べたいと思いながら見つめていると、視界に京弥が入ってニッコリ微笑まれた。
「 ねぇ 葉月ちゃんでしょ、手ケガして、うちの店に来てた 」
えっと、確か 京弥さんだったよね?
「 はい、忙しいところお邪魔してました 」
「 いつでも来なよ。可愛いね、髪キレイだし 」
可愛い!? 髪キレイ!?
イケメンに言われると嬉しいけど、お世辞だな。
「 ありがとう… 」
「 ねぇ葉月ちゃん 彼氏にするなら俺らのうち誰選ぶ?」
なぜ そんな質問…
三人ともイケメンすぎて選べないし。
「 私も知りたいっ 葉月選らんで!」
「 えっ! 未夢ちゃんまで… 」
そんなぁ 選べない…
京弥と未夢は 誰を選ぶかとワクワクして待っているが、圭吾と臣は私を見てはいない。
私の視線の先は臣…
「 葉月ちゃん、臣見てる?臣かぁ 俺選らんで欲しかったな~ 」
「 え… 違っ 京弥さん私で遊ばないで下さい!」
「 京弥でいい、さん付け禁止!さん付けしたらバツありね 」
「 ええっ!?」
