テキストサイズ

狼くんを飼いますけど…

第3章 同居者


黙って会話もなく私に着いてくる志貴。

志貴がちゃんと着いてきているかチラリと見ながら歩いて やっと自宅に着く。



ゆっくりだったなぁ…



「 私の家よ、入って。あ、荷物ありがとね 」



荷物を受けとり先に入るが志貴は上がろうとしない。



「 入らないの? お風呂準備するから、ね?」



ふと思う。

もしかして警戒してる?

私が警察に連絡するんじゃないかって…

あれ、これ監禁になる?

まさかね… だって お風呂提供するじゃん。




「 警察も監禁も何もなし!お風呂入るのみ!志貴くん、言う事聞いてっ 」



無理やり浴室に志貴を押し込んだ。



「 入らないと ランチ代返してもらうからね!高いランチ食べたんだし?」




そう言って浴室の引き戸に耳をつけて 入ったか音を聞いてみる。




ガララ… バタン、と音がしてシャワーの水音が聞こえた。



よしよし、入ったね。

バスタオルはある…

着替えは~…




どこかに片付けた男性用の新品の下着とスウェット上下。

デパートで彼が泊まった時に使えるようにとかなり奮発して用意していた物。

背丈は志貴の方が少し高い。

私は それを手にして 悲しくなった。

その悲しさに蓋をして浴室に入り志貴に着替えだと言って置いた。




アイツの物でも新品だし、役にたつとはね…



志貴が綺麗になって浴室から出てきた。




「 似合うね… それ あげる。もう使わないし、いらないから。一応 新品だよ 」

「 ありがと…」

「 いいえ 」




さ、今からどうしようかなぁ



「 志貴くん、なんか飲む?」

「 南部さん… 」

「 笑瑠でいいよ、もう知り合ったでしょ、ね?」




で、何がいいかなぁ?コーヒーか…

ジュース?リンゴしかないなぁ




「 あの… 今夜 泊めてください、浴室とか玄関でも… 」




え… 泊める?

浴室か玄関に?

ないでしょ、そんなの。






ストーリーメニュー

TOPTOPへ