
狼くんを飼いますけど…
第3章 同居者
駆け引きはここまで。
でも、私は悪魔じゃない。
それでも私は最低な事を口にした。
「 …飼ってもいいよ、私が志貴くんを 」
どの口が言ったか? 私の口に決まってる。
志貴が返事をするのを待たずに私は続けて言った。
「 ただし、ちゃんと働いて食費だけはもらう。女は禁止、友達も禁止、恋人禁止、私に対して干渉しない事… 何事も私を優先、なぜなら家主だから 」
よく言えたと思った。
人に命令し、禁止事項を言ってしまう。
まさに、ある意味 監禁…
それを感じると、すぐに撤回したくなった。
「 嘘! アハハ、ごめんね 今の 嘘… 」
「 いいよ!守る… 約束する 」
え… え、ちょっと 待ってよ…
「 あ、冗談よ? こういうの言ってみたかっただけ… そんなこと思ってないから、ほんとに… 」
「 笑瑠さん?」
なんでだろう…
バカだ、私… ほんと最低…
私は謝った、頭を下げて。
「 志貴くん、ひどい事言ってごめんなさい、私… どうかしてる 」
足先に志貴の足が見え、頭を上げると 志貴が私を抱きしめてきた。
「 志… 」
な… どうなってんの?
「 お世話になりますっ 」
あ、挨拶ね… 抱きしめて挨拶?
やだ、なんか笑える。
「 はい、どうぞ 」
彼氏もいないし、飼ってもいいかな?
