
狼くんを飼いますけど…
第4章 イタズラ禁止令
いない志貴を探して座敷や個室、トイレや倉庫、店内くまなく探してもいない。
外に出て探したくても勝手には出られず、一旦みんなの所へ戻る。
「 南部ちゃ~ん、飲んでないぞ~ 」
「 すいません… ちょっと体調が… 」
なんて嘘だけど、みんなハイピッチだから抜け出せるかも。
「 南部ちゃん…の代わりに飲むのは誰だぁ~」
店長 酔ってる…
那緒さんは~ あ、顔が怖い…
美也と由芽花は二人で話ながら笑っている。
抜け出すなら今だけど…
「 笑ちゃん、えらいなら先に上れば?ここはいいよ、俺いるし、どうせ みんな潰れて朝帰りになるし 」
泉希くん… 感謝っ!
「 ありがとう、先に上がらせてもらうね 」
泉希の好意に甘えて 私はトイレに行くフリをして宴会を抜けた。
カラスを出てから志貴がいないかと付近を探してもおらず、もしかしたらと思い自宅方面へと向かって行く。
志貴~ どこよ~ どうせなら家にいてよっ
歩く足も次第に小走りになり、結局は走って帰る。
自宅に帰り着くと、寒空の中 玄関の前で体育座りで膝を抱えて丸くなっている志貴がいた。
いた!
「 志貴っ 」
「 ……笑留 」
「 やだぁ、なんでここにいるの!?なんで勝手に… 一言くらい私に言えたでしょ?」
こんな寒いのに…
「 笑留ごめん… 那緒さん、また俺に… 」
え… 那緒さんが?
「 話はあと、入ろ!風邪引くし 」
志貴を家に入れて すぐに湯をためる。
「 志貴、すぐにお湯たまるから とりあえず毛布にくるまってて 」
毛布を部屋から取ってきて志貴に被せてヒーターの前に座らせた。
「 で、また那緒さんに何かされそうだったの?」
「 …俺がトイレに行くと いつの間にかいて、あとで控え室に来てって言われたんだ。
だから 逃げてきた… 」
あ~ そっかぁ
「 辛いのはわかるけど、先にそれを言ってくんなきゃ助けれないよ?」
2回もオシャブリされちゃって…
那緒さんってば3度目も店でするつもりだったんだ。
すごすぎっ
「 笑留っ… 俺、もう笑留以外は やだっ 」
ちょっと、今 キュンってしたじゃん!
